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〒515-0043  三重県松阪市下村町993

下肢静脈瘤の原因


イラスト

人は立って歩く動物ですので、下肢から心臓へと上方へ血液が返る通路である下肢静脈にはいつも重力という負担がかかっています。静脈は単なる筒ではなく、重力に逆らって効果的に血液が流れるように、内腔に心臓の方へ流れるような一方弁を有しています。そもそもの原因はこの静脈の中の一方弁がこわれてしまうことです。
一方弁がこわれると、重力に負けて静脈の血流が下方へ落ちてしまう逆流を生じ、下肢静脈の血液が心臓へ返りにくくなり、低いところに血液が多くたまってしまいます。よく皆様が勘違いされますが、いわゆる血栓とは違いますし、つまってしまうわけでもありません。


はじめに ー 当クリニックの下肢静脈瘤治療の特徴


2008年から2017年の10年間の約3000肢の豊富な下肢静脈瘤治療経験をもとに、できるだけ再発のもとになるような病変を残さないように、十分な術前エコー検査をもとに手術方法を考え、患者様に説明、相談の上、決定します。

■当院の下肢静脈瘤の治療実績

2015年 2016年 2017年
総治療肢数 535 567 558
うち 日帰り 477 531 538
うち 入院 (他院で草川手術) 58 36 20
 
伏在静脈ラジオ波焼灼術 340 398 407
伏在静脈ストリッピング 109 65 42
重症例のSEPS (伏在と同時) 12(1) 13(7) 8(0)
その他 75 98 101

今まで多くの下肢静脈瘤治療施設を見学させていただき、学会参加、発表なども行って知識を広め、また全国の同業の優秀な先生方との横のつながりも多く、相談させていただけるので、むずかしい症例でもしっかりとバックアップできるように準備しています。手術後もエコー検査で綿密なアフターケアーを行い、患者様と相談の上、適宜必要な追加治療を行っています。
治療については、以下のようなことを実行しています。

1.豊富な治療選択肢

再発をできるだけ抑える治療を行ったり、再発に対する適切な対処をするためには、エコーによる正確な診断技術と豊富な治療の方法を身に着けていなくてはなりません。現在は、マスコミやメディアでは、レーザーやラジオ波による静脈血管内焼灼術(以降、焼灼術と略します)ばかりがクローズアップされている現状ですが、これはあくまで、定型的な病態に対する治療であり、たくさんある治療選択肢の一つにすぎません。非定型的な病態に対しては、焼灼術だけでは不十分で、再発のもとを残すことになるばかりでなく、間違った治療になる可能性も否定できません。
個々の患者様の病態によって、再発させないための治療の選択は異なってくるので、その判断をしっかりと行っています。


2.豊富な麻酔方法の選択肢

現在クローズアップされている焼灼術では、痛くないとか、軽く済むということを売りにしている場合がありますが、そればかりを必要以上に優先すると、病変が残ったり、再発が起こったりしてしまいます。
焼灼術の標準麻酔は、焼灼する静脈の周りへの大量の局所麻酔とされていますが、実際にはこの麻酔をするときの針の痛みが強く、切除すべきふくらはぎの付属静脈瘤や逆流している静脈も、痛がるからと残してしまいがちです。
神経ブロックという麻酔を細い針ではじめに行っておくと、焼灼術の痛みだけでなく、局所麻酔の針の痛みや、付属静脈瘤、逆流静脈の処理時の痛みに対する除痛にも大変効果があり、痛みを気にせず病変を残さない手術が可能となります。 神経ブロックを行う技術と経験を持ち合わせている施設は、全国的にまだ多くはありません。
また、患者様の希望に応じて、鎮静剤の注射を使って、軽く眠っている間に手術することも可能です。


皆様の下肢静脈瘤に対する認識や疑問


皆様の下肢静脈瘤に対する認識や疑問を下記にまとめました。




Q.下肢静脈瘤の主な症状は?

A.患者様の自覚症状で一番多いのは、ふくらはぎの静脈のコブですが、それに伴って、ふくらはぎのだるさ、重さ、張るような痛さ、硬結や発赤を伴った強い痛み(血栓性静脈炎)、ほてり、むくみ、こむら返り、皮膚炎、色素沈着や硬化、潰瘍のどれかがあれば、静脈瘤と関連している可能性が高いと思います。症状はふくらはぎに出ることが多いですが、原因は下肢の付け根からの静脈逆流であることが多いです。


Q.血の塊が心臓や脳に飛んだりすることがあると聞きましたが?

A.下肢静脈瘤が原因で肺塞栓症や脳梗塞になる可能性は非常に低く、手術を勧める理由にはなりません。
また、下肢静脈瘤で潰瘍が起きる確率は1%くらいであり、私の今までの経験(約100肢の潰瘍治療経験があります)では、下肢切断になるかもといわれて紹介された患者様も見えましたが、病態に応じた治療(入院が必要な治療もあります)で、ほぼすべて治癒しています。


Q.どんなふうになったら手術する必要がありますか?

A.下肢静脈瘤は命を奪う病気ではありませんし、急変することもない病気です。したがって、患者様がつらいと感じていることと、静脈瘤が明らかに関連している場合に手術の適応になります。
下肢静脈瘤は一般的に、長い時間をかけてゆっくり進行する病気です。もちろん見た目がつらいというのも患者様のつらさの一つだと思います。


Q.静脈をとったり閉塞させた後、別の道を作らなくても大丈夫ですか?

A.処理する静脈は、立つことによって重力に負けて足先へむかって血流が逆流してしまう静脈です。これを取ったり閉塞させたりすることで、他の一生懸命上向きに心臓に向かって流れている静脈の負担を増やさないようにすることが手術の目的です。したがって代わりの血管をつける必要はありません。


Q.手術は日帰りで大丈夫ですか?

A.今までの自分自身の経験で、ここまでは日帰り手術でできることだという境界がだいたいわかっているつもりです。軽症例ではほとんど日帰り手術が可能ですが、病態や治療のやり方によっては入院で行う方が良いものもあります。入院が必要な方は、私が非常勤医師となっている松阪中央総合病院へ入院していただいて、私が手術をします。入院中は常勤医の先生に主治医になっていただきますが、手術前日と当日は私が直接診察させていただきます。


Q.術後の痛みはありますか?すぐに歩けますか?

A.どういう方法でやったとしても、痛みは全くないと言えばうそになってしまいますし、同じことをしても、人によって痛みの感じ方は驚くほどに違います。ただ、痛みが強くてのた打ち回るということはありません。ほとんどの方は痛み止めの飲み薬を必要としません。本人に痛み止めを渡してしまうと痛みが少しでも飲んでしまう方が多いですが、軽い痛みにはあまり効果がないことが多いばかりか、乱用して副作用が出てしまいがちですので注意が必要です。
また、手術の後、少し休憩していただければすぐに歩けますし、すぐに飲んだり食べたりできます。ただし日帰り手術の後、その日の車の運転はやめて下さい。


Q.仕事はいつから復帰できますか?

A.軽作業であれば、帰宅してすぐからでも可能です。仕事への復帰に関しては、これも同じ手術をしても、人によっての感じ方も違いますし、社会的な背景でも変わってくることです。通常のお仕事であれば、翌日から復帰していただいて結構です。


下肢静脈瘤の手術方法


基本的に手術でやることは以下の二つです。
【1】一方弁がこわれた静脈を取ってしまうか閉塞させてしまう
【2】上記の静脈逆流で膨らんだ外から見える静脈瘤を取ってしまう

下肢の静脈系は下図のようになっていますが、【a(深部静脈系)】は取ってしまうことはできませんので手術を行いません。
【1】の手術を行う静脈は下図の【b(表在静脈系)】の静脈です。

【b(表在静脈系)】の幹状の血管のうち、足の近くの内側から下肢の内側を上行し、下肢の付け根で【a(深部静脈系)】に流れ込むのが、大伏在静脈本幹、足の近くの後側から下腿の後側を上行し、膝の裏で【a】に流れ込むのが、小伏在静脈本幹です。これらは皮膚の奥で筋肉の上の深さを通っているので、外からはわかりにくいことが多いです。
【b】の静脈のうち、一方弁が閉まらずに逆流する部分だけに手術を行います。

【1】の手術には、当院では以下の二通りの治療法が選択できます。いずれも保険診療です。


Ⅰ.ストリッピング手術


ストリッピング手術

【b(表在静脈系)】の静脈を、その真上の小さい2-4個の1-1.5cm(縫合1針分)の傷から剥離して、その間の静脈を下記のようなストリッピングワイヤーという道具を用いて抜去する方法です。ほとんどは下図に示した内翻法を用います。


Ⅱ. ラジオ波カテーテルでの焼灼術


ラジオ波カテーテルでの焼灼術

【b(表在静脈系)】の静脈を穿刺して、下記のようなカテーテルを内腔に挿入し、十分な局所麻酔下に、内腔から静脈をカテーテル先端で熱変性させ、閉塞させるというものです。

焼灼術では他に、種々の波長のレーザーカテーテルを用いて治療を行う施設もあり、一部は保険診療、一部は保険外診療ですが、ラジオ波カテーテルの治療成績は、レーザーの中で最も優れたものと同等であると言われています。


「ストリッピング手術と」「ラジオ波カテーテル」の利点と欠点

ストリッピング手術

利点

必ず予定通りに施行できる
ストリッピングで抜去した静脈の逆流は絶対再発しない
再発の原因となりうる深部静脈接合部の枝をより確実に処理できる

欠点

鼠径部などに抜糸を必要とする傷が必要
特に高度肥満の方では手術の難易度が高くなる
基本的に出血しやすい薬を飲んでいる方は、それを止めて施行
人によって痛みを強く感じる場合がある

ラジオ波カテーテル

利点

抜糸が必要な傷なしで可能
痛みはストリッピングとほとんど変わらないか、少し楽
出血しやすい薬を飲んでいる方は、それを止めずに施行可能
肥満の方でも難易度は変わらない

欠点

実際に試みて、施行できないことがある
焼灼する静脈がうまく閉塞せず、逆流が残ることがある
焼灼した静脈の先端に血栓ができて、上方へ膨らむことがある(2%)
(ただし、重篤な状態になることは極めてまれ)
ひどい場合は入院治療が必要な場合がある
手術後はエコーで注意深い観察が定期的に必要
ワーファリンという薬を飲まないといけない場合あり
再発の原因となりうる深部静脈接合部の枝は処理できない

以上の要因を考慮し、どちらの治療が向いているのかをよく検討し、患者さんの希望も聞いて、よく理解をいただいたうえでどちらの治療にするかを決めます。


外から見える静脈瘤に対する手術


ストリッピング、ラジオ波カテーテルのどちらを選択しても、外から見える静脈瘤に対する手術は同じことをやります。この部分には蛇行が強くてカテーテルは入らず、しかも熱を加えると皮膚がやけどしてしまいます。このような静脈瘤のほとんどは、皮膚表面の近くからbの静脈へ向かって流れていくはずの側枝が、逆流のため膨らんでできたものです。
治療は2-3mmの小さい傷で専用のへらとフックを用いて静脈瘤を皮膚の外へ吊り上げ、牽引して取ります。傷はテープでとめるだけで、縫合は必要なく、抜糸も不要です


【治療例】74歳男性、ラジオ波焼灼術

ラジオ波焼灼術

【治療例】69歳女性、ラジオ波焼灼術

ラジオ波焼灼術

その他に、穿通枝(図では交通枝と表示)という【a】の深部静脈と皮膚の近くの間をつなぐ静脈の、深部へ向かう一方弁が壊れてしまうと、逆流が生じて不全穿通枝といわれ、切離もしくはエコーで見ながらの硬化療法が必要な場合があります。皮膚が黒く硬くなったり、潰瘍(皮膚に穴が開く)の原因になることもあり、入院を要する特殊な治療が必要になる場合があります。内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(SEPSと呼んでいます)という、限られた施設でのみ保険診療でできる手術で、施行できる病院へ紹介の上、私自身がその病院へ赴いて手術を行っています。


内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術 (SEPS)

seps

再発した静脈瘤は手術で治せないのですか?
エコーで原因を良く調べ、それに対する手術を考慮します。再発の原因について、正確な診断ができ、十分な治療の選択肢を持っている施設は決して多くありません。私には、今まで200肢以上の再手術経験があり、学会や論文で発表を行っておりますので、遠慮なくご相談ください。病態によっては入院を要しますが、そのような場合は、松阪中央総合病院に入院していただき、私が手術させていただきます。
術後合併症については、来院後、手術を決められた方に説明します。

おおたクリニック  血管外科、下肢静脈瘤日帰り手術担当  草川 均




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